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部屋を暗くして行った予行練習で得られた気づきとアイデア

毎晩,日食撮影の予行練習を行っていると,いろいろと気づきやアイデアが得られます.第2接触が近づいてきたときに,いつ,何を行うかを常に確認できる状態にしておきたいと考えるようになりました.そこで,撮影スケジュールなどのリストをA5のパネルに入れて三脚にくくりつけることを考えました.

パネルをつづり紐で三脚にくくりつけたら,そのすぐ横に時計があったほうが便利です.そこで,三脚にタオルを巻き付け,予備の時計をそのタオルにひっかけることにしました.部分食中に時計の液晶を保護するためには帽子が便利です.

写真撮影の操作を行いながらシャドーバンドの観察もできれば便利です.そこで,パネルを見る視線の延長線上に白い紙をダンボール箱に貼ることにしました.これなら,少し視線を手前に落とすだけでシャドーバンドの観察もできます.

完成した三脚周りのシステム.日食当日に観測地で撮影した物.撮影スケジュールを書いたパネルを三脚に取り付け,タオルが時計の保持に役立っている.視線を手元に落とせば,シャドーバンド観察用に白い紙を貼ったダンボール箱もある.

忘れてはならないのはピントの調整です.2012年5月21日の金環日食の時は,ピント調整のタイミングを逃してしまい,第2接触直前にピントがずれているのに気づいてパニックになりました.今回の皆既日食では,第2接触直前に慌てないようにしなければなりません.ピントのチェックは画角調整の時に行うことにしました.
(注:本番でわかったことですが,ピントのチェックと画角調整を同時に行う場合は,充分な時間の確保が必要です.)

ピントの調整を効果的に行うためには,あらかじめ遠景でピントを合わせておき,動かないようにマジックテープで固定しておきます.後で調整できるようにマジックテープは片方を折り返してはがしやすいようにした状態で,2箇所で固定しておけばよいでしょう.ピントの調整が必要になれば,マジックテープを片方だけはがしてピントの微調整.微調整が終われば,もう一度,ピントを確認しながら片方ずつマジックテープを止め直します.

この方法でのピント調整も何度も練習しました.ピントがどちら側にずれてもできるように.しかも第2接触少し前に雲に覆われたことも想定して,薄暗い中でもできるようにしました.
(注:今回は幸運にも日食当日は,薄雲はあったもののシャッタースピードの変更は必要なかった.しかし,通常,部分食中に雲に覆われてきたら,適正なシャッタースピードも変化するので,シャッタースピードを変更する操作も練習しておいたほうがよい.その所要時間もあらかじめ把握しておくことが必要.なぜなら,ピントのずれが軽微の場合,実際にピント調整を行うかどうかの決断のために必要となるから.)

以上のように練習をしながら何度も試行錯誤を行い,スケジュールを調整・変更していきました.最終的な撮影スケジュールが確立したのは1週間前.ギリギリですが1週間前からも毎日,欠かさず練習を行うようにしました.