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皆既日食初体験(皆既帯で過ごした時間)

7月22日朝は曇.空は厚い雲に覆われていました.時折,生暖かい風がほほに感じる中,ホテルの前の庭園では日食食事会が開かれ,9時36分が近付くにつれ,庭園の順路の歩道にも三脚やカメラを持った観測者であふれていきました.みんな,一向に晴れる気配のない空を,あの一瞬だけでも奇跡が起こってほしいという思いで見つめているのでした.

9時32分頃でしょうか? 少し前から降り始めた雨の雨足が強まる中,少しずつではありますが,だんだんと辺りが茶褐色の薄暗がりに包まれていくのがわかります.少し温度が下がったのでしょうか,冷やかな風を感じるようになってきました.

そして迎えた 7月22日9時36分44秒.
すぅーと,それまで薄暗がりから一気に夜へ.「おぉー」というどよめきとともに,神秘的な闇に包まれていきました.今から何が起こるのか? かすかな不安が体の奥底で揺り起こされているようでした.

不気味な静けさ.人々は言葉を失い,聞こえるのは,雨とカメラのシャッター!

少し空が明るくなってきたかと思ったその時.今までの闇が音もなくどこかへ足早に去ってしまい,周りは光で満ち溢れているのでした.鳥のさえずりが聞こえ始めます.空は相変わらず,厚い雲に覆われています.皆既日食が終わった瞬間でした.

あの夢のような時間は一体何だったのでしょうか?
みんなで共有した不思議なひととき.
いつかまた,どこかで!

追記:
 今回,私のように,遠征したのに悪天候のために皆既日食を見ることはできなかった方も多いと思います.それでも,体で感じる大自然のドラマは充分に堪能できたのではないでしょうか?
(厚い雲の上ではどんな光景が繰り広げられていたのでしょうか? 次回はぜひとも,晴れてほしいものです.)