「子ども向け入門書」 の各項目の詳細ページ
学研の図鑑:見える!さがせる!星・星座
『学研の図鑑:見える!さがせる!星・星座』は,日食に関するページはわずか1ページですが,星と宇宙に興味を持つきっかけを多数提供してくれます.
私はこのような観察ブックを少年時代にたくさん読み,星が見える夜などは星空を眺めていました.今回,久々に『学研の図鑑:見える!さがせる!星・星座』を通読して,懐かしい気分を楽しむとともに,自分の頭の中を整理することができました.
そういった意味で,大人向けの「天文の超入門書」としても大いに活用できるものと思います.
日食の観測の章
日食に関する記述は,「太陽の観測」のセクションにあります.
わずか1ページ.日食に関する要点中の要点をていねいに写真と図入りで解説しています. 小さな子供にもわかるように日食の観測について一言で説明しようとすると意外と難しいものです.月と地球の軌道などを解説しても理解してもらえるとは限りません.しかし,月が地球の周りを廻っていることは多くの子が感覚として違和感なく受け入れられることでしょう.
本書『学研の図鑑:見える!さがせる!星・星座』は,図と写真をうまく組み合わせることによって,皆既日食も含めた日食の起こるメカニズム,日食の観測の時の注意事項をコンパクトにまとめてあります.
特筆すべき点は,「目の保護(目の安全)」に関して,誤解が生じないように配慮されている点です.少しネタバレになりますが,部分日食の説明で太陽投影版に映った像の写真を載せてあるし,その下には木漏れ日の写真があります.さらに,肉眼で部分日食を観測するためには「日食グラス」が必要なことも写真入で説明してあります.
子供だけではなく,大人も,日食観察の要点中の要点を容易に理解できることでしょう.
星空へのロマン
表紙から2枚めくると,美しい天体写真が紹介されています.宇宙に関する知識が全くなくても無条件に目が釘付けになってしまうことでしょう.
続いて,「星を見るための基礎知識」として,星座の話と星空の見方の紹介があります.とにかく早く空を見上げたくなるような気分に誘われ,夜になるのが楽しみになると思います.
私も小学生の頃,毎晩,星を見るのが楽しみでした.毎日,同じ星のグループが現れるのが不思議でした.じっと見ていると,少しずつ位置が変わっていくし(日周運動),毎日見ていると,同じ時刻でも少しずつ見える場所が変わっていく(年周運動)のがまた感動でした.
『学研の図鑑:見える!さがせる!星・星座』には,日周運動と年周運動のしくみも図と写真でわかりやすく解説してあります.
本書を片手に,まずは星と宇宙に親しんでみたいものです.
太陽と月
太陽に関して,「太陽の観測」の項目で,太陽の観測の際の注意事項を力説した後,日食の観測,月の観測,月食の観測,星食の観測と続きます.
身近な存在である月が引き起こすさまざまなドラマを身近に感じることが可能です.
特に,日食,月の満ち欠け,月食,星食が連続したページで紹介されているのは,月が引き起こす現象をまとめて理解するのにありがたいです.
太陽系について
太陽系の惑星を水星から太陽系外縁天体まで一気に解説.身近な存在でありながら,案外,各惑星の素顔を知らなかったりします.
欲を言えば,(特に水星や金星は)見つけ方を詳しく記して欲しかったですが,太陽面通過(日面通過)の情報が詳しいので,日食に類似する現象として理解しやすいと思います.
星座に関するお話
古代から現在までの星座の歴史,四季の星座の見つけ方,代表的な星座に関しては観察ガイドが記されています.
星空の写真に,よくプラネタリウムなどで行われる星座の絵を重ね合わせて紹介されていますので,実際の夜空で星座を見つけやすいと思います.
また,ページ下のコラムにも興味がそそられる話題が凝縮,これだけでも毎晩楽しめそうです.
その他の関連情報
日本の天文台やプラネタリウム,天体写真の写し方,日食や月食などの天文現象,天体望遠鏡などの情報が満載.
読み終わる頃には星空の虜になっていることでしょう.