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学研の図鑑:日食観測ガイド(「日食観測めがね」付)
日食観察をしたいすべての子供たちのための「日食めがね」付き観測ガイド.夏休みの自由研究はもちろん,大人でも夢中になる皆既日食のエッセンスを集約.
皆既日食の日(2009年7月22日)が迫りくる中,この本に出会えたことは幸福です.私は少年時代から30年以上も皆既日食に関する情報を集めてきましたが,バラバラの知識をまとめることができたのもこの本のおかげだと思います.
コロナの眺めとアニメーション
皆既日食のコロナのイメージ画像が脳裏に焼きつくように,表紙,見開き,1頁目,3頁目とコロナの写真やコロナの絵が数枚連続で現れます.
日食の進行を示す日食のアニメーションが各奇数頁右上にあり,皆既日食のイメージをつかんだら,今度は日食進行の全体像をつかむことが可能です.
皆既日食と日食の進行のイメージをつかんだ上で,各頁を読むと理解が深まるように工夫されています.
7月22日の皆既日食
2009年7月22日の皆既日食の日食図を,地球全体,日本付近,日本各地,トカラ列島付近,と徐々に詳しく述べられています.
皆既日食が見られる皆既帯に注目しながら,本書の後の頁で,トカラ列島付近で見られる現象が容易に把握できるでしょう.
日食の起こる理由
トルコで見られた日食を題材に,人工衛星から見た月の本影,日食の模式図,地上での日食写真を同時に見比べると,日食が起こる理由が容易に理解できます.
私もこの記述は感動的でした.私の心は既に皆既帯の中で,思わず,宇宙空間の中での太陽と月と自分が一直線に並んでいるという白昼夢に浸ってしまいます.
皆既日食時の現象とコロナ
皆既日食で見られるコロナ,ダイヤモンドリング,本影錐,プロミネンスというように,皆既日食の時のみ見られる光景の写真が連続.いよいよイメージが盛り上がったところで,次の頁のコロナの拡大写真へと続きます.
日食の観察方法
皆既日食の前後の部分日食を観察する時の注意として,目の安全対策に関する注意がわかりやすくまとめられています.
日食観測めがねの使用,欠けた太陽のピンホール像(木漏れ日),投影法などの紹介があります.
日食写真の写し方のまとめもうれしい.
太陽について
日食を機会として是非,興味を持ちたいのが太陽の恵み.
太陽の黒点(日食の時も投影法で観察可能)から始まり,太陽の中心の核融合反応と太陽活動,宇宙天気予報の話題へと続きます.
私たちの普段の生活も太陽についての詳細な知識に支えられているということがよくわかります.
資料・便利ノート
日食観測めがねの使い方,日食投影機や日食早見の作り方,日食や太陽観察のための記録用紙などが付属しています.
せっかくなら,これらの付属部分は裏面を印刷せずに厚紙を贅沢に使って欲しかったです.厚紙で同じものを作るか,2冊買うなりの工夫が必要なのが難点.
しかしながら,夏休みの自由研究の課題として,観測項目を絞り込めば有効活用ができると思います.