「一般向け入門書」 の各項目の詳細ページ
皆既日食と宇宙のふしぎ
1ページ単位または見開き2ページで一つのテーマを扱っており,各テーマの最初にはテーマの内容を3行程度にまとめた簡単な説明があります.
また,鮮明な図や写真が大きく多数用いられていて,本文を読む前にもイメージで概念を把握できるように工夫されています.
これなら,理科が苦手な人でも大丈夫です.
日食について
日食が起こる理由から始まり,日食の観察方法,日食エリアマップ,トカラ列島皆既日食タイムテーブルとトカラ列島の各島の地図が載っています.
日食とは?
日食の基本的な仕組みと皆既日食の現象までを見開きで理解させてしまうのには驚きです.
皆既日食と部分日食説明用の太陽,地球,月とも画像がリアルな上,皆既日食の連続写真がイメージとしての定着を助け,続くページの理解を容易にします.
皆既日食,部分日食,金環日食,ダイヤモンドリング
皆既日食と金環日食,部分日食の違いや皆既日食時に見られるダイヤモンドリングについての説明はどの本にもありますが,そのメカニズムを一言で説明している本はあまりありません. 本書では,日食の進む段階をページ下に併記したり,太陽と地球と月の軌道に関する図を併記(月食の説明ですが)することで側面からの理解を深められます. 右ページにはコロナの写真.皆既日食のイメージを強化します.
日食の観察時の注意点
この2頁だけ赤い太字が多く,非常に重要なページであることが本能的に理解できます. 煩雑さや冗長さを避けようとするのか,繰り返しを避けている本が多い中,本書は目の安全に関する重要な注意事項に関しては,表現やレイアウトを工夫しながら繰り返し注意を述べていますがくどさは感じません.
右ページには古代エジプトの有翼日輪と皆既日食のコロナの話があり,ほっと一息つけるように工夫されています.
全国の日食とトカラ列島
2009年の7月22日の皆既日食を部分日食が見られる地域とともに,広域図から次第にトカラ列島付近への図へとクローズアップして理解できるようになっています.
地球全体の日食図,日本全国の日食タイムテーブル,トカラ列島皆既日食タイムテーブル,皆既日食の見える島々という順序で紹介されています.
あえていうならば,多数の観測者が訪れるであろう奄美大島も載せて欲しかった.
しかしながら,観測地の選定等には,天候などとの関係で地形などの地理的環境の理解も必要で,標高を色で塗り分けているために各島の立体構造が把握しやすいのはうれしい.
太陽について
皆既日食をきっかけとして太陽への関心が高まるのは当然だと思います.
この章では,太陽の構造や光る仕組みを述べ,皆既日食のときに見られる各種の現象の理解を助けるように配慮されています.
特にコロナに関しては,皆既日食時の大きな写真を載せ,理解が深まるように工夫されています.
コロナの説明はそのまま,フレア,宇宙天気予報,オーロラなどにつながり,太陽コロナと我々の日常生活との密接なつながりが理解できるように工夫されています.
本書を読んだ方は皆既日食のコロナをどんな思いで見ることができるでしょうか?
太陽系から宇宙へ
太陽に近い側から順に紹介され,地球と月に関してももう一度述べられています.最近,惑星から準惑星へと変更になって話題になった冥王星や太陽系外縁天体に関してもわかりやすく写真や想像図入りで解説されています.
次の章では,太陽系外の広大な宇宙へ話が広がり,宇宙論の話題にまで一気に進みます.
最後は星座の話と最近の宇宙開発に関することも紹介し,宇宙が身近な存在として実感しながら読み終えられるようになっています.
本書を読んで,日食を見ながら宇宙を感じてみましょう.