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ベジャ・ビスタ,ラスフローレス,ピスマンタ,ロデオとその近郊(サンファン空港(UAQ)他から)

アルゼンチンでの観測地として,最も注目されたのはアンデス山脈の東斜面を下った高原地帯です.実際,阪急交通社からラスフローレス近郊のパンパデルキュラ,近畿日本ツーリストからは,ピスマンタでの観測ツアーが発表・募集されました.いずれも,ベジャ・ビスタとロデオの中間付近で,今回の皆既帯のなかで最も晴天率が高い地域の一つです.

ベジャ・ビスタ,ピスマンタ,ロデオへのアクセスは,メンドーサまたはサンファン空港(インテルナシオナル・サン・ファン空港,UAQ)からとなります.サンファン空港やサンファンの町の一部も皆既帯にかかっていますが,40号線を北へ進み,タラカストで40号線を離れて北西へと進み,やがて149号線と合流してさらに北上すると,今回の皆既日食の中心線上の町,ベジャ・ビスタに到着します.その北にはラスフローレス,ピスマンタと続き,チリから続いている150号線を北東に進むとロデオに行けます.

サンファンを出るとすぐに乾燥した荒野になり,道中はずっと乾燥した大地です.そのためか,人が住んでいる町にたどり着くと,なぜかホッとしたことでしょう.砂漠の中のオアシスというイメージでしょうか.途中も写真撮影スポットとして面白そうな箇所もあるのですが,今回は皆既日食の観察が目的ですから,風で巻き上がる砂ぼこりの直撃を受ける場所は避けたいものです.時期的にはゾンダという強い西風が頻発する季節とはずれてはいるものの,中小の町やその近郊を観測地として選定したほうが無難です.

たとえば,ベジャ・ビスタでは,農地や住宅地を取り囲むように防風林があり,砂嵐に備えています.また,ピスマンタでは周囲の丘陵地がある程度,天然の防風柵の役割を果たしているという独特の地形です.これらの人工・天然の風対策の光景も一緒に写真に収めるのが結構,面白かったです.たとえば,以下の作品です
天文ガイド2019年9月号 南米皆既日食 タイムラプスムービーによる日食観測風景

個人旅行では逆に,町外れで観測してみるのもいいでしょう.町外れで観測するなら,町の東側が風対策として無難でしょう.たとえば,ロデオの町のはずれにあるクエスタデルビエント湖の湖岸などでの観測が許してもらえるなら,景勝地としても魅力あると思ったのですがどうでしたでしょうか.皆既中の壮観以外にも,第2接触直前や第3接触直後,欠けた夕日に照らさた時などに,起伏に富んだ湖岸でどのような色彩変化が見られたのか興味がわきます.

個人旅行ではちょっと厳しい地理的な位置関係にあるベジャ・ビスタ,ラスフローレス,ピスマンタ,ロデオですが,観測地さえ確保できれば,アンデス山脈の西側のチリ側とはまた違った面白さが堪能できたはずです.天文サークルなどのグループで観測に出掛ける場合,もし可能なら,チリ側とアルゼンチン側の二手に分かれて観測するのもおもしろいと思いましたが,実際に実行された方はいらっしゃるでしょうか.