シャドーバンド
シャドーバンドとは,皆既日食の時に,皆既の直前と直後に白い地表面に現れる現象で,ミミズのように見える淡いさざ波のような縞が流れて見える現象です.
シャドーバンドについて,以下に簡単にまとめました.詳しくは,以下の書籍を参照してください.
「日食写真の撮り方講座」に,シャドーバンドの簡単な原理と撮影法が載っています.
さらに詳しい情報は,
日食のすべて
に,過去の観測例を交えながらわかりやすく述べられています.
シャドーバンドの見え方:プールの底に映る水の影より淡い
シャドーバンドの見え方は晴れた日のプールの底に映る水の影に似ているといわれています.実際に見た人の証言によると,プールの底に見える影をもっと淡くしたものだそうです.
シャドーバンドの見える時:皆既日食の前後の1~2分
シャドーバンドが見えるのは,第2接触(皆既の始まり)の1~2分前から見られ,第3接触(皆既の終わり)の1~2分後まで見えることがあります.
シャドーバンドは,必ず見られるわけではありませんが,とても印象深い現象なので,是非注目したいところです.
シャドーバンドの原因:細くなった太陽と大気の濃淡?
シャドーバンドが起こるメカニズムの詳細は不明です.皆既食が近付くと,太陽が線のように細い光源になるので,大気のムラが影になって現れるのではないかと言われています.
シャドーバンドの観察は難しい?
シャドーバンドの観察が難しい理由の一つとして,多くの観測者は,太陽に目が釘付けになってしまい,シャドーバンドに気付く人は比較的少ないからだと思われます.実際,皆既日食観測経験者の証言でも,皆既が近付く緊張感の中で,地面にまで目がいかなかった,ということがよく聞かれます.
シャドーバンドの観察準備
皆既日食の時に,シャドーバンドは必ず見えるとは限りませんし,ダイヤモンドリングなどの他の皆既日食の時の魅力と見える時間が重なります. 事前の下準備(観測地下見を含む)を充分に行い,見る優先順位と現地での臨機応変な行動が必要です.
2012年11月14日のケアンズ付近で見られた皆既日食の場合のように,太陽高度が低い位置で皆既になる時は,白いスクリーン(または板に模造紙を張ったりしたスクリーンの代用品)を用意しておくと便利です.海岸付近は特に風が強くなることも予想されるので,飛ばされないような対策も考えておきたいところです.
シャドーバンドの観測と記録
見るだけでも大変なシャドーバンドを記録するのは大変ですが,それだけに観測記録を残すことができれば貴重な観測記録となります.
スクリーン,録音機,ビデオカメラなどを用意し,シャドーバンドの記録に挑戦する意義は大きいと思います.
詳しくは,
日食のすべて
または
天文ガイド 2012年 11月号 [雑誌]
を参照してください.
「シャドーバンド」のまとめ
皆既日食の魅力を高めるシャドーバンド.,本影錐やダイヤモンドリングとともに,忘れずに見るようにしたいものです.