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日食グラス

日食グラスは皆既日食前後の部分日食や金環日食の観察で絶対に必要なものです.

日食を裸眼で観察してよいのは,皆既日食直前のダイヤモンドリングから皆既中と皆既直後のダイヤモンドリングまでの数分間だけです.それ以外の期間は,日食グラスなどで目を保護しながら観察しなければなりません.たとえごくわずかでも太陽の光る面が見えているときは絶対に裸眼で見てはいけません.ですから,金環日食の時は,最初から終わりまで絶対に裸眼で見てはいけません.

日食グラスは太陽の光を弱めるだけではありません.目に有害な光を遮断し,目を守るのです.

日食グラスの役割をよく理解して,目に安全な方法で日食を観察しましょう.このページでは,日食グラスが必要な理由を簡単に説明しました.

日食網膜症という目の病気

金環日食や部分日食を肉眼で見る時は,日食グラスを使う必要があります.日食グラスを使わずに,太陽の光を眩しくない程度に弱めても,金環日食や部分日食では目を傷めたり,失明する危険がきわめて高いことがあります.

この場合は,眩しくないために知らず知らずのうちに目に回復不可能な障害を起こしてしまうでしょう(日食網膜症).今年の5月の金環日食でも日食網膜症に気をつける必要があります.

なぜ,このようなことになるのでしょうか?

「日食網膜症という目の病気」 の詳細

原因は肉眼では見えない光

太陽の光には,いろいろな光が混じっていて,その光の中には目に見えない光も大量に含まれているからです.人間の目に見えない光の中にも危険な光があるのです.

太陽の光のうち人間の目に見えるのは「可視光線」という光のみで,太陽の光のごく一部なのです.プリズムを使うと可視光線は赤から紫までのいろいろな光に分かれて虹として見えます.

実は,赤の外側や紫の外側にも人間の目には見えないだけで光が届いていて,それぞれ,「赤外線」,「紫外線」と言います.この赤外線と紫外線が目に特に有害なのです.

人間の目は可視光線のみに反応する

また,人間の目は,目の中の組織を守るために可視光線が多い明るいところでは瞳孔が小さくなります.しかし,可視光線の量が少なくなると瞳孔が開き,目の中に入る光の量を多くします.この反応は本来,暗いところでもよく見えるようにするためのものです.

怖いのは赤外線と紫外線

目の前に黒い物を置いて太陽の光を弱めたとしても,可視光線だけ弱くなっただけで紫外線や赤外線はあまり弱くなっていないことがあります.それでも,可視光線さえ弱くなると人間の目は瞳孔を拡げて光をたくさん通るようにしてしまいます.

可視光線を弱めても,赤外線や紫外線の強さがあまり変わらない場合は,可視光線を弱める前よりも人間の目にはより多くの危険な赤外線や紫外線にさらされてしまうこともあるのです.これは,目には非常に危険なことです.

赤外線と紫外線.目に見えないだけに本当に恐ろしいです!

昔の減光法は赤外線や紫外線には効果がなく非常に危険

昔の日食観察の減光法のほとんどが赤外線や紫外線には無力ですから,誤った減光法で目を傷めないようにしなければなりません.

特に,色のついた下敷き,いぶしガラス,感光したフィルム,サングラス等は,可視光線は弱くなるものの,目に有害な赤外線をほとんど素通りさせるので非常に危険です.

日食グラスは有害な光も減光する

日食グラスなどの日食観察専用の眼鏡(太陽観察用めがね,日食メガネなど名称は製品によって異なります)は,目の安全を考慮し,部分日食を肉眼で観察する目的で開発されたものです.

多くは樹脂製のフィルターに金属を蒸着することにより,可視光線のみではなく,赤外線や紫外線も十分に減光できるように設計されています.

日食グラス使用時の注意点

金環日食や部分日食の時でも日食グラスを使うことにより,肉眼で日食を観察する際に目を傷める危険性は小さくなりますが,それでもいくつかのことに注意しなければなりません.

日食グラスを用いたとしても,長時間の観察は避けましょう.目の組織の耐性には個人差がありますが,目安としては,数十秒観察したら目を休めるようにしましょう.

日食グラスを目にかけて歩き回ってはいけません.貴方の周囲にも熱心な観察者がいらっしゃいますので,ぶつかったり接触する事故のないようにしてください.

「日食グラス」のまとめ

日食グラスを使わずに,安易に他の方法で代用すると,いかに恐ろしいことになるかがよくわかると思います.

すぐれた日食グラスのメーカーは,肉眼観察を前提に,可視光線に加えて赤外線や紫外線を充分に減光できるかどうかを計測した上で,しっかりとそのデータも公表していると思います.

大切な目を守るためにも安全な観察方法を実行しましょう.