「南米大陸西海岸(チリ沿岸部)」 の各項目の詳細ページ
- 皆既帯が太平洋岸に上陸した直後のチリ沿岸部の皆既日食
- ラ・セレナ近郊
- ラ・イゲラとその近郊
ラ・セレナ近郊
西海岸でアクセス性の良さとホテルの確保が容易なことでラ・セレナが魅力的でした.ラ・セレナも皆既帯に入っており,2分15秒程度の皆既食が堪能できました.ツアー,個人旅行ともにチリでの皆既日食観察のための起点として注目されたことは言うまでもありません.
そのラ・セレナを日食中に上空から移した貴重な映像が公開されていました.Magic Sensor さんの作品です.
02 de julio Eclipse Solar La Serena Chile 4k
ラ・セレナは,観光都市ですから,宿泊施設の数は多く,早くから満室となっているホテルがほとんどだったのですが,直前には観測場所の変更などからのキャンセルで空きが出る可能性もあり,注目されていました.そのような日食ファンの想いにも想像力を働かせながら,山あいや水平線と海岸が短時間でどんどん変化していく美しさを楽しみましょう.
町の中心部のアルマス広場の南約300mを東西に走るフランシスコ・デ・アギレ大通りを西に進むと美しい海岸を広く見渡せる海岸通に出ます.目印は,記念灯台の Faro Momental です.このあたりは広大な砂浜が拡がり,道路沿いには草地もありますから,三脚を立てる足場がしっかりした場所を確保しようと多くの天文ファンの大集合となったようです.
草地を伴った砂浜は,記念灯台付近の海岸を中心として南北に数キロ続いています.南側の幹線道路沿いは混雑が予想されるでしょうが,その面積自体が広いので案外,問題にならなかったようです.北側は幹線道路からはずれるため,ゆったりと観測できそうですが,海岸沿いに林立しているホテルがあらかじめ場所を確保していた場合,宿泊客以外の観測者の入場が許可されたのかどうかが心配です.やはり,観測地については,下見はもちろん,事前確認は大切ですね.
充分な事前準備として模範となるkeiさんの作品を紹介させていただきます.
第2接触で出現した2つ目玉のダイヤモンドリングがベイリービーズに移行していく瞬間を,動画と静止画の双方で見事に捉えてくださいました.非常に難易度が高い撮影で,周到な準備が実を結んだ瞬間であるだけに,その感動はひとしおです.
作者のタイトルは「ラ・セレナ皆既日食・観測本番編1」ですが,出発から観測計画,観光,観測本番,そしてその後,と多義にわたり,貴重な記録の数々.一緒に遠征旅行をさせていただいているかのような臨場感をぜひ,味わってください.なお,皆既日食が終わってから水平線へ太陽が沈む直前に見られたグリーンフラッシュにも感動です.
今回の皆既日食では天候の次に心配だったのが風です.飛散した砂による光学系への影響を考えれば,南北に2キロほど移動するという方法もありました.記念灯台付近の海岸は砂浜ですが,南北に離れるほど砂の粒子が粗くなります.あまりにも水辺に近いと波しぶきの心配がありますが,逆に波しぶきの背景の皆既日食という面白い写真撮影の構図が狙えたかもしれません.
ラ・セレナとその近郊で皆既日食を観察された方には,前日までに,市内観光も兼ねて,海岸通を歩きながら観測地の下見と確保に充分な時間をかけた方も多かったようです.