見逃せない瞬間
皆既日食ほど魅力的な天文現象はないと言っていいでしょう.コロナの圧巻,変わり行く色彩豊かな風景,どれも皆既日食ならではの,魅力いっぱいの美しい光景です.そのどの一瞬一瞬も,すばらしくて見逃せないものばかりです.
皆既日食の特権ともいうべき見逃すことのできない魅力的な瞬間をまとめてみました.
魅力的な現象の見られる順序と見える時
部分日食が半分以上進行したあたりから,皆既に向けてのさまざまな現象が徐々に現れてくるようになります.特に,第2接触の直前には同時進行的に多くの現象が観察可能です.ここでは,私が計画している注目すべき現象を,注目すべき時間的順序で並べてみました.
欠けた太陽の形をした木漏れ日
部分食中を通じて見られます.風にゆられる欠けた太陽の木漏れ日は,特に美しいです.
気温や空の色
食分が60%を超えたあたりから少しずつ変化が見られ,日差しにも,やわらかさを感じるようになります.
生物たちの反応
食分が70%に達した前後で行動変化が見られます.
シャドーバンド(影帯)
皆既(第2接触)までの残り時間が2~1分程度から第2接触直前までに見られます.まれに,金環日食でも見られることもあります.
ダイヤモンドリング,本影錐
いずれも第2接触直前,ほぼ同時発生的に起こります.観察の優先順位も考えておきましょう.
彩層
第2接触直後,太陽の光球面が完全に隠された直後に見られます.
プロミネンス
彩層と同様に,第2接触直後,太陽の光球面が完全に隠された直後から見られますが,大きなプロミネンスの場合は,彩層が隠された後もしばらくは見えていることがあります.
コロナ
第2接触直前のダイヤモンドリングが見られる頃から,皆既中,第3接触直後のダイヤモンドリングが見られる頃まで見えます.コロナの形は日食ごとに異なります.
皆既中の地平線付近
360度全周にわたっての皆既日食独特の美しい夕焼けが見られます.どうしても皆既中の黒い太陽に目が釘付けになりますが,地平線付近の色彩の変化も注目したいものです.
食の最大が過ぎ,日食の後半は上記の逆の順序で観察できます.ただし,第3接触になると太陽の光球面が姿を現しますので,目を傷めないように早めの減光対策が必要です.
主な現象の詳細は,左サイドバーのメニューから参照してください.